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【CJ現場リポート 2004年6月】

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『もういいわ!どうすれば良いの?私は。3人も老板がいては!』

と言うのが最初の言葉でした。

日本と台湾との合弁会社様の財務部の責任者である中国人女性の言葉でした。

この女性は今年35歳の東北出身の女性で、この会社様には設立の半年後に入社したいわばベテラン社員の一人です。東北出身の方らしく、巻き舌音を良く使う北京語を話される実直な方でした。

この会社様は約10年前に営業許可書を取得されており、その後さまざまな紆余曲折があったのですが、2000年くらいから市況が回復し、需要が大幅に増えた外部要因に加え、投資者の内の1社の社長様が、中国での新たな事業展開を行なうにあたり、現状の現地法人の状況を見てもらえないか?ということで、各分門の責任者の方とのヒアリングを行なった際に、財務の責任者の方から発せられた言葉だったのです。

このような発言の背景には、投資者の1社である台湾の会社様は自社で独自の会計管理手法をお持ちで、その方法に則り、報告をしてもらいたいとの事ですし、日本サイドの会社様は日本サイドが分かりやすいフォーマットで財務報告をしてもらいたいとの事であったのです。

当然、毎月10日までには、中国の当局にキチンとした会計報告書を提出しなくてはいけないので、この財務担当者の方にすれば、一つの事実に対して、さまざまな報告書を作成しなくてはならず、かなり業務の負担になっていたと思われます。

このような状況に陥った原因としては、さまざまな理由がありますが、何と言っても会社の財務報告方法に関してキチンとした社内(董事会)での取り決めがなかったことが挙げられると私は思うのです。

この担当の女性は、会社の財務を預かる人間として、責任感を持って業務を行なっていたのですが、日常の業務の忙しさもあり、なかなか各投資者の方が独自に要望を出されているフォーマットをタイムリーに作成することができず、時にはその提出が遅れたことも過去何回かあったようです。このようなことの積み重ねが、時間の経過と共に財務の責任者への不信感、ひいては他の投資者の方への不信感へと発展していったようです。

中国での企業管理には、税務・会計管理が重要な管理項目ですが、中国に進出された企業様にとり、現場での生産管理(サービス業であればサービスの品質管理など)や社内での人事労務管理なども当然日常的に対応しなくてはいけない課題です。

特に中国での合弁会社の税務・会計管理にはスタート時点でキチンとした董事会での決め事が必要のように思います。

このスタート時点で緻密な打ち合わせがないままに、事業がスタートしてしまいますと、後々社内で一生懸命に働いている中国人スタッフに大きな負担がかかることになると思うのです。もちろん他の管理項目でもお同じだと思います。

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