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このCJ現場レポートの9月号でも中国での現地法人での経営では人の問題で頭が痛いとの状況に対して具体的に5つの社内管理項目を提起いたしました。
今月はその5つの管理項目の内、最も基本的かつ根本的課題である中国人社員の動機付けに関していろいろ考えてゆきたいと思います。
1950年代よりアメリカを中心として行動科学という社会科学の分野が確立され、人の動機付けのメカニズムがいろいろ発表されるようになりました。ご存知の方も多いことと思いますが、有名なマズローの欲求5段階説などはあまりに有名です。下記に簡単に代表的な動機付けの学説をご紹介したいと思います。
人間の欲求は階層構造を形成しており,下位のものが充足されるごとにより上位の欲求を満たそうとし、その欲求とは低次のものから順に以下のように構成されている。
人間有機体の肉体的欲求、衣食住などへの欲求
身体的危険、脅威等から守られたいとの欲求
集団への帰属や友情、愛情を求める欲求
承認・評価など他人からの尊敬への欲求や自信・独立など自尊への欲求
潜在能力の実現、継続的自己啓発、創造性の発揮など限りない成長を望む欲求
あらゆるタイプの物質的・生理的欲望を含んでいる。例えば、飢えや渇きは この生存欲求の欠乏を示しており、賃金、ベネフィット、ならびに物的作業条件などへの欲求は、この生存欲求の一つのタイプである。 家族、上司、同僚、部下、友人、ならびに敵などの重要な他人との人間関係に関する欲求である。 自己ならびに自己の環境に対して創造的ないし生産的でありたいとする欲求で。そして、この欲求の満足は、人間が自己の能力をフルに利用し、さらに新たな能力を開発する必要のある課題に従事することによって得られるとしている。
X理論とは、人間は元来怠け者で責任を回避したがるという仮説。
Y理論とは、人間は自らすすんで採用した目標のためには自ら努力しようとし、自ら責任をとることもいとわないという仮説。
マグレガーは、X理論による管理は、「アメとムチ」による管理であり、低次の生理的欲求や安全の欲求しか満たせないとし、Y理論に依拠する管理の重要性を主張した。
Y理論による管理の具体的方策としては業務目標の設定段階から部下が参加する『目標による管理』が生まれた。
根底となる2つの人間観とは?
人間観 :不快を回避したい欲求 人間観:精神的成長により潜在能力を実現したいという欲求
人間は誰しも様々なことを成し遂げたいという欲求を持っている。 他者からよく見てもらいたい、好かれたい。 他者をコントロールしたい。
では、中国人に対する動機付けメカニズムはいったいどのようなものでしょうか?
良く聞くことですが、『中国人はお金だけで直ぐに転職する人種だ。なかなか中長期的な人材育成プログラムが策定できない』という声です。
果たしてその通りでしょうか?私は確かに労働の流動性は日本以上に高いのは客観的事実とは思いますが、この外部環境ともいえる状況だけで、金銭がすべての動機付けの要因になっているとは思わないのです。
企業である以上、企業の目標と個人目標とが一致している場合には、大変効率の良いパフォーマンスが得られることは良く知られていることです。
中国人社員の方へのモチベーションとは、実は企業サイドでの目標管理や方針の明確性の『映し鏡』のように思います。明確なルール・目標が存在している限り、そこには中国人も日本人も大きな差はないと思うのですが、皆さんはどのようにお考えでしょうか?