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【CJ現場リポート 2004年10月】

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今月は、社内における日本語に関して考えてみました。

日系企業の総経理にはほとんど100%に近い割合で優秀な通訳の方がついておられることと思います。よほど中国語に自信のある方でない限り通訳なしですべての日常業務を遂行されている方は少数派だと思います。

中国への進出の計画段階、実際の進出、そして現地での実務のスタートと段階を経るに従って、社内でのコミュニケーションの必要性も益々高まってくることと思います。すべての管理職の方が、そこそこ日本語がお出来になり、業務上必要なコミュニケーションが日本語でOKと言う会社様は少ないと思います。

また日本語のできる人材を要所要所に配置しようと考え、人材の採用時から日本語レベルの高さを一つの採用基準とされておられる会社様も数多いことと思いますが、実際にはなかなか思ったような人材を希望条件で採用できないのも事実ではないかと思います。

このような状況では、日本語のできる人材を社内でじっくり、しかも出来るだけ短期間に育成してゆくことがポイントになってくるように思います。当然のことながら、外国語のマスターは我々日本人の学校教育における英語の勉強の例を考えるまでもなく、半年ないし1年で日常生活に必要な日本語がマスターできるとは思えませんが、業務上必要な言葉の有効なマスターには方法があるように思うのです。

まず、第一にはそれぞれの業務(それぞれの部門)で一体どれ位の語彙数が日常業務で使用されているか?を捉えることからスタートするように思います。

一般的に日本人が中国での生活で必要なコミュニケーションをしてゆく上では、3000語~3500語くらいの語彙数が必要と思われますが、日常業務で必要な語彙数はここまで多くないはずです。私は多くて1500語前後ではないか?と思います。

第二には、我々日本人の学校での英語学習の反省に基き、学習方法の工夫も必要になるように思います。本来、言葉つまりコミュニケーション・ツールとしては

  1. まず相手の言っていることを自分の耳で聞き取ることからスタートするとすれば、まずはヒアリングからです。
  2. 第二ステップとしては相手とコミュニケーションする際になんと言っても口頭でのコミュニケーションが日常業務ではその中心となりますからスピーキングです。
  3. 第3ステップとしては文字で書かれた文書を読み、そして理解する能力、リーデイング能力です。
  4. そして最後に自分の考えを文字で表現するライテイング能力のような気がします。

振り返って考えてみますと、我々が日本の学校で学んだ英語という外国語の勉強方法は、ちょうどこの方法の正反対のような気がするのは私だけではないように思います。少なくとも8年以上(人によっては10年近く)勉強したにもかかわらず、投入したその『コスト』(学校での勉強ですからこの『コスト』と言う表現が適切性を欠くかもしれません)のわりには『パーフォーマンス』が悪いということになるのではないでしょうか?

企業の現場では、このような2点をふまえた上で、私は下記のような日本語マスター手法が有効だと思います。

  • 業務遂行に必要な単語数が確定した後であれば、1年を250日間と設定しこの250日間の時間の中で、必要な単語を記憶してゆく社内での体制を確立する。私は毎日3~5単語で十分だと考えます。仮に1年(つまり250日間とすると)750単語~1250単語のマスターが可能になります。
  • この語彙力強化のサポート体制を社内で日本人の方が中心となり構築する必要があります。ここが最大のポイントだと思います。
  • できれば日本語が上手な中国人の方にこの体制構築に関与していただけますとさらに効果が倍増します。
  • 学校ではなく企業ですから外国語はコミュニケーション・ツールとして使用できてはじめて有効ですので、基礎語彙力の取得状況をみながら実践の場で使用することだと思います。
  • 最後には、日本人スタッフの方が、自ら努力して中国語のマスターを少しづづでも構わないので、継続して努力することです。

このような地味な積み重ねがあって初めて、社内での業務上必要な日本語でのコミュニケーションが可能になるように思います。

若い中国人であればあるほどマスターする速度は速いでしょうし、また継続的にこのような学習パターンを社内で推進されたのであれば、3年もすれば各現場で日本語でのコミュニケーションは見違えるようになっているものと思います。

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